○久留米広域消防本部救急業務規程
平成21年4月1日
消防本部訓令甲第19号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 救急隊等(第3条―第6条)
第3章 救急自動車(第7条―第10条)
第4章 救急活動(第11条―第20条)
第5章 医療機関等(第21条・第22条)
第6章 救急自動車の取扱い(第23条・第24条)
第7章 救急業務計画等(第25条・第26条)
第8章 応急手当の普及啓発(第27条)
第9章 雑則(第28条・第29条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、久留米広域消防本部が行う救急業務に関し必要な事項を定め、もって救急業務の能率的運営を図ることを目的とする。
(1) 救急業務 消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)に定める救急業務をいう。
(2) 救急事故 法及び消防法施行令(昭和36年政令第37号)に定める救急業務の対象である事故をいう。
(3) 救急自動車 救急業務を行う自動車をいう。
第2章 救急隊等
(救急隊長)
第3条 救急隊員(以下「隊員」という。)のうち1人は、救急隊長(以下「隊長」という。)とし、消防司令補以上の階級にある隊員をもって充てるものとする。ただし、消防司令補以上の隊員が不在のとき又は欠けたときは、消防士長がその職務を代行する。
2 隊長は、上司の命を受け、隊員を指揮監督し、救急業務を円滑に行うように努めるものとする。
(救急隊の編成)
第4条 消防長は、救急救命士法(平成3年法律第36号)第2条第2項に規定する救急救命士の資格を有する隊員及び救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)第5条第2項に規定する隊員をもって編成するよう努めるものとする。
(隊員の訓練)
第5条 消防長は、隊員に対し、救急業務を行うために必要な学術及び技能を習得させるため、常に教育訓練を行うよう努めなければならない。
(隊員の服装)
第6条 隊員が救急業務を実施する場合の服装は、久留米広域消防本部消防吏員服制規則(平成21年久留米広域市町村圏事務組合規則第29号)に定める救急帽、救急上衣及び救急ズボンを着装することとする。ただし、安全管理上の必要がある場合又は感染のおそれがある場合は、この限りでない。
第3章 救急自動車
(救急自動車の要件)
第7条 救急自動車は、道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)第1条第1項第13号に定める緊急自動車の基準に適合するもののほか、次に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 隊員3人以上及び傷病者2人以上を収容し、かつ、第10条に定める資器材を積載することができる構造のものであること。
(2) 四輪自動車であること。
(3) 傷病者の収容する部分の大きさは、次のとおりであること。
ア 長さ1.9メートル以上、幅0.5メートル以上のベッド1台以上及び担架2台を収容し、かつ、隊員が業務を行うことができる容積を有するものであること。
イ 室内の高さは、隊員が業務を行うのに支障がないものであること。
(4) 十分な緩衝装置を有するものであること。
(5) 適当な防音、換気及び保温のための装置を有するものであること。
(6) 前各号に掲げるもののほか、救急業務を実施するために必要な構造及び設備を有するものであること。
(高規格救急車の配備)
第8条 消防長は、救急隊員の行う応急処置等の基準第6条第3項に規定する応急処置を行うために必要な構造及び設備を有する救急自動車を配備するよう努めるものとする。
(救急自動車の標示)
第9条 救急自動車の側面に、消防本部名又は救急隊名を標示するものとする。
(救急自動車に備える資器材)
第10条 救急自動車に、応急処置、通信等に必要な資器材で別表第1に掲げるものを備えるものとする。
第4章 救急活動
(口頭指導)
第11条 消防長は、救急出動要請時に情報指令課又は現場出動途上の救急自動車から、救急現場付近にある者に、電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
(搬送を拒んだ者の取扱い)
第12条 隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。
(医師の要請)
第13条 隊員は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 傷病者の状態から搬送することが生命に危険であると認められる場合
(2) 傷病者の状態から搬送可否の判断が困難な場合
(3) 救助活動を要する傷病者で事故現場において医師の診療が必要な場合
(死亡者の取扱い)
第14条 隊員は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。
(関係者の同乗)
第15条 隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、最小限度においてこれに応ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、未成年者又は意識に障害があり正常な意思表示ができない傷病者を搬送する場合は、努めて保護者等関係者の同乗を求めるものとする。
(災害救助法における救助との関係)
第16条 久留米広域消防本部が行う救急業務は、災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用される場合においては、同法の規定に基づく救助に協力する関係において実施するものとする。
(感染症と疑われる者の取扱い)
第17条 隊員は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する1類感染症、2類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症と疑われる傷病者を搬送した場合は、隊員及び救急自動車等の汚染に留意し、直ちに所定の消毒を行い、この旨を消防署長(以下「署長」という。)に報告するものとする。この場合において、当該傷病者がこれらの感染症の患者であることが判明したときは、速やかに医師等の指示により適切な措置を講ずるものとする。
2 署長は、前項の診断結果の報告を受けたときは、直ちにこの旨を消防長に報告するものとする。
(要保護者等の取扱い)
第18条 消防長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)に定める被保護者若しくは要保護者と認められる傷病者又は行旅病者を搬送した場合においては、同法第19条各項に定める実施機関に通報するものとする。
(活動の記録及び報告)
第19条 隊員は、救急活動を行った場合は、別に定める報告書及び記録票(以下「報告書等」という。)に救急活動を行った年月日、傷病者の状態、住所、氏名、年齢及び性別並びに活動概要等所要の事項を記録するものとする。
2 隊員は、傷病者を搬送し、医療機関に引き渡した場合は、当該事実を確認する医師に傷病名、傷病程度等について当該医師の所見を聴するとともに、当該医師の氏名を報告書等に記録しておくものとする。
3 隊員は、応急処置等を行うに際し、医師から指示があった場合には、当該医師の氏名及び指示内容を報告書等に記録しておくものとする。
4 隊員は、前3項の規定により記録した報告書等を速やかに署長に報告するものとする。
(家族等への連絡)
第20条 隊員は、傷病者の傷病の状況により必要があると認めるときは、その者の家族等に対し、傷病の程度、状況等を連絡するように努めるものとする。
第5章 医療機関等
(医療機関等との連絡)
第21条 消防長は、救急業務の実施について医療機関と常に密接な連絡をとるものとする。
2 消防長は、前項の規定に基づき知り得た医療機関における空床の状況等の情報については、必要に応じ、近接する他の消防本部の消防長と相互に情報を交換するよう努めるものとする。
(団体等との連絡)
第22条 消防長は、久留米広域消防本部の管轄する区域内で救急に関する事務を行っている団体等と救急業務の実施について情報を交換し、緊密な連絡をとるものとする。
第6章 救急自動車の取扱い
(消毒)
第23条 署長は、次に定めるところにより、救急自動車及び積載品等の消毒を隊員に行わせるものとする。
(1) 定期消毒 月1回
(2) 使用後消毒 毎使用後
(消毒の標示)
第24条 署長は、前条第1号の消毒をしたときは、その旨を別に定める記録票に記入し、救急自動車の見やすい場所に標示しておくものとする。
第7章 救急業務計画等
(救急業務計画)
第25条 消防長は、特殊な救急事故が発生した場合における救急業務の実施について、救急業務計画を作成しておくものとする。
2 署長は、毎年1回以上前項に定める救急業務計画に基づく訓練を行うものとする。
(救急調査)
第26条 署長は、救急業務の円滑な実施を図るため、管轄区域について、次に掲げる事項を調査するものとする。
(1) 地勢及び交通の状況
(2) 救急事故が発生するおそれのある対象物の位置及び構造
(3) 医療機関等の位置
(4) 前3号に掲げるもののほか、必要な事項
第8章 応急手当の普及啓発
(住民に対する普及啓発)
第27条 消防長は、住民に対する応急手当の普及啓発活動を計画的に推進するよう努めるものとする。
第9章 雑則
(救急搬送の証明)
第28条 署長は、救急事故により救急車等で搬送した傷病者、傷病者から委任を受けた者その他消防長が必要と認める者から別に定める申請書により救急搬送の証明の申請があったときは、当該事実に基づいて別に定める証明書を交付することができる。
2 署長は、前項の証明を行ったときは、必要書類を保管しておかなければならない。
(補則)
第29条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この規程は、平成21年4月1日から施行する。
附則(平成26年3月31日消本訓令甲第3号)
この訓令は、平成26年4月1日から施行する。
附則(令和3年3月30日消本訓令甲第4号)
この訓令は、令和3年4月1日から施行する。
別表第1(第10条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血圧計 血中酸素飽和度測定器 検眼ライト 心電計 体温計 聴診器 |
呼吸・循環管理用資器材 | 気道確保用資器材 吸引器一式 喉頭鏡 酸素吸入器一式 自動式人工呼吸器一式 自動体外式除細動器 手動式人工呼吸器一式 マギール鉗子 |
創傷等保護用資器材 | 固定用資器材 創傷保護用資器材 |
保温・搬送用資器材 | 雨おおい スクープストレッチャー 担架 バックボード 保温用毛布 |
感染防止・消毒用資器材 | 感染防止用資器材 消毒用資器材 |
通信用資器材 | 無線装置 |
その他の資器材 | 懐中電灯 救急バッグ トリアージタッグ 膿盆 はさみ ピンセット 分娩用資器材 冷却用資器材 |
備考
1 気道確保用資器材は、経鼻エアーウェイ及び経口エアーウェイを含む気道確保に必要な資器材をいう。
2 吸引器一式は、吸引用カテーテルを含む口腔内等の吸引に必要な資器材をいう。
3 酸素吸入器一式は、酸素ボンベ、酸素吸入用鼻カニューレ及び酸素吸入用マスクを含む酸素吸入に必要な資器材をいう。
4 自動式人工呼吸器一式は、換気回数及び換気量が設定できるものとし、手動式人工呼吸器及び酸素吸入器に含まれる資器材と重複するものは共用できるものとする。
5 自動体外式除細動器は、救急救命士が使用するものについては、心電図波形の確認及び解析時期の選択が可能なものが望ましく、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。
6 手動式人工呼吸器一式は、人工呼吸用のフェイスマスクを含む手動による人工呼吸に必要な資器材をいう。
7 固定用資器材は、副子及び頚椎固定補助器具を含む全身又は負傷部位の固定に必要な資器材をいう。
8 創傷保護用資器材は、三角巾、包帯及びガーゼを含む創傷被覆に必要な資器材をいう。
9 感染防止用資器材は、ディスポーザブル手袋、ディスポーザブルマスク、ゴーグル、N―95マスク及び感染防止衣を含む感染防止に必要な資器材をいう。
10 消毒用資器材は、各種消毒薬及び各種消毒器を含む消毒に必要な資器材をいう。
11 分娩用資器材は、臍帯クリップを含む分娩に必要な資器材をいう。
12 冷却用資器材は、ディスポーザブル瞬間冷却材等とする。
別表第2(第10条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血糖値測定器 |
呼吸・循環管理用資器材 | 呼気二酸化炭素測定器具 自動式心マッサージ器 ショックパンツ 心肺蘇生用背板 特定行為用資器材 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡 |
通信用資器材 | 携帯電話 情報通信端末 心電図伝送等送受信機器 |
救出用資器材 | 救命網 救命浮環 万能斧 |
その他の資器材 | 汚物入 在宅療法継続用資器材 洗眼器 リングカッター |
その他必要と認められる資器材 |
備考
1 自動式心マッサージ器は、地域の実情に応じて備えるものとする。
2 特定行為用資器材は、救急救命士法施行規則(平成3年厚生省令第44号)第21条に定める救急救命処置に必要な資器材とし、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。
3 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡は、チューブ誘導機能を有するものとし、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。
4 情報通信端末は、傷病者情報の共有や緊急度判定の支援等、救急業務円滑化に資するための機能を有する資器材とし、地域の実情に応じて備えるものとする。
5 心電図伝送等送受信機器は、地域の実情に応じて備えるものとする。
6 在宅療法継続用資器材は、医療機関に搬送するまでの間において、在宅療法を継続するために必要な資器材とし、地域の実情に応じて備えるものとする。