○久留米広域消防本部火災調査規程
平成21年4月1日
消防本部訓令甲第14号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 調査体制(第6条―第10条の2)
第3章 調査員等(第11条―第14条)
第4章 現場保存(第15条―第17条)
第5章 原因調査(第18条―第28条)
第6章 損害調査(第29条・第30条)
第7章 書類の作成等(第31条・第32条)
第8章 報告(第33条・第34条)
第9章 り災証明(第35条)
第10章 雑則(第36条―第39条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の原因並びに火災及び消火のために受けた損害の調査(以下「調査」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因及び損害を明らかにして、将来の火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 爆発現象 化学的変化による燃焼の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガス及び熱を発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(火災の種別)
第4条 火災は、焼損物件の種類によって次の種別に区分するものとする。
(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。
(3) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(6) その他の火災 前各号に掲げる火災以外の火災をいう。
(調査の種別)
第5条 調査の種別は、次に掲げるとおりとする。
(1) 原因調査 火災が発生した原因及び火災が拡大して損害を大きくした原因を究明することをいう。
(2) 損害調査 火災及び消火のために受けた人的及び物的損害について調査することをいう。
第2章 調査体制
(調査の実施責任)
第6条 調査の実施責任は、火災が発生した地域を管轄する消防署長(以下「署長」という。)にあるものとする。ただし、車両火災、船舶火災及び航空機火災において、り災物件が移動する場合の調査の実施責任は、別に定める。
2 前項の規定にかかわらず、消防長は、特に必要があると認めるときは、自らの責任において調査を行うものとする。
(調査員)
第7条 調査を行うため、消防本部及び消防署に調査員を置く。
2 調査員は、消防本部にあっては予防課長が指定する者、消防署にあっては署長が指定する者をもって充てる。
3 前項の規定にかかわらず、署長は、必要があると認めるときは、調査員以外の消防吏員に命じて調査を行わせることができる。
(調査の着手)
第8条 署長は、火災の発生を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
(派遣要請)
第9条 署長は、調査のため特に必要があると認めた場合は、消防長及び他の署長に対し、調査員の派遣及び調査器材の貸与を要請することができる。
2 前項の要請を受けた消防長及び他の署長は、調査員を派遣する等、署長が行う調査に協力しなければならない。
3 消防長は、調査のため必要があると認めるときは、前2項の規定にかかわらず、消防本部の調査員を派遣することができる。
(派遣命令)
第10条 消防長は、法第35条の3の2の規定に基づき消防庁長官が行う火災の原因調査に協力する場合その他特に必要があると認めた場合は、調査員及び調査員以外の消防吏員(以下「調査員等」という。)の派遣を命ずることができる。
(火災調査アドバイザー)
第10条の2 消防長は、調査業務の円滑な運営並びに調査員等の知識及び技術の向上のため、調査員等のうち火災調査に関して知識及び技術を特に有する者を火災調査アドバイザーに指定して、必要な業務を行わせることができる。
2 火災調査アドバイザーの設置及び運用に関し必要な事項は、別に定める。
第3章 調査員等
(調査員等の心得)
第11条 調査員等は、関係法令に精通するとともに、常に調査技術の研鑽及び知識の修得に努め、社会の動向に留意し、科学的調査の実をあげるよう心がけなければならない。
2 調査員等は、調査員等相互の連絡協調を図り、調査全般の進展を期すとともに、綿密周到かつ公正に調査に当たらなければならない。
3 調査員等は、関係者に対し、その立場を考慮するとともに、親切を旨とし、基本的人権の尊重に留意して接しなければならない。
(民事不介入の原則)
第12条 調査は、火災原因の究明又は損害の調査のため、必要な事項に限り行うものとし、個人の民事的紛争に関与してはならない。
(秘密の保持)
第13条 調査員等は、調査によって知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
2 調査員等は、調査した事実について捜査機関等から証言等を求められた場合は、上司にその内容について事前に報告し、その指示に従わなければならない。
(警察との協力)
第14条 調査員等は、警察官と緊密な連携を保ち、互いに協力して意思の疎通を図らなければならない。
第4章 現場保存
(消火活動中の現場保存)
第15条 消火活動に従事する職員は、出火場所及びその付近における活動に当たっては、現場保存に細心の注意を払わなければならない。
(消火活動後の現場保存)
第16条 署長は、消防活動が終了したときは、所轄警察署と協議の上、現場保存に必要かつ最小限度の区域を指定して保存に努めるものとする。
(焼死者等の取扱い)
第17条 署長は、焼死者及び火災による死者が発見されたとき又は死者が予想されるときは、速やかに消防長に報告するとともに、所轄の警察署長に通報し、現場保存に特に留意しなければならない。
第5章 原因調査
(原因調査の原則)
第18条 調査員等は、原因調査に当たり、先入観にとらわれることなく、科学的な方法と合理的な判断により、事実の究明に努めなければならない。
(出火出場時の見分)
第19条 先着隊の長は、現場到着時の燃焼状況及びその推移、戸締りの状況並びに関係者の言動等火災原因究明に必要と認められる事項を観察見分し、調査員等にこれらの状況を説明し、又は資料を提供しなければならない。
(実況見分)
第20条 調査員等は、焼き状況を把握するため実況見分を行い、そのてん末を記録するとともに、原因の究明に必要な資料を収集しなければならない。
(写真撮影)
第21条 調査員等は、現場において原因究明上必要なものについては、写真撮影を行わなければならない。
(質問権の行使)
第22条 法第32条第1項に規定する質問は、調査員等に命じて行わせるものとする。
(質問)
第23条 調査員等は、関係者に調査上必要な事項に関して質問する場合は、時期を失することなく常に任意真実の供述を得るように努めるとともに、強制的手段を避け、必要以上に関係者に迷惑を及ぼし、又は質問がみだりに私事にわたることのないよう留意しなければならない。
2 調査員等は、現場における質問に当たり、被質問者の冷静かつ正確な供述を得るため、時間、場所その他の事情を考慮して原因究明の端緒を得るよう努めなければならない。
3 調査員等は、自己が期待し、又は希望する供述を被質問者に暗示する等の方法により誘導してはならない。
4 調査員等は、被質問者から直接経験した事実の供述を得るように心がけるとともに、被質問者の伝聞にわたる供述で重要な事案に関するものは、その事実を直接経験した者に更に質問を行うよう努めなければならない。
(少年等への配慮)
第24条 調査員等は、調査のため火災の発生に関係した少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)に対し質問を行う場合には、親権者の立会いのもとで行う等、特に配慮しなければならない。
2 調査員等は、新聞その他の報道機関に対し、火災の発生に関係した少年の氏名を公表し、又は推知させてはならない。
3 前2項の規定は、心神喪失者、心神耗弱の状態にある者等が関係した火災の調査を行う場合について準用する。
(資料の提出等)
第25条 署長は、調査のため必要があると認めるときは、関係者又は火災の原因である疑いがあると認められる製品を製造し若しくは輸入した者に対して資料の任意提出を求めることができる。
2 署長は、法第32条第1項若しくは第34条第1項の規定に基づき資料の提出を命じ、又は報告を求めるときは、別に定める命令書及び報告徴収書により行うとともに、資料返還の必要の有無を確認しなければならない。
3 署長は、第1項の規定に基づき資料の任意提出を求めるときは、別に定めるところにより、当該資料の正当な権原を有する者に対して、資料を提出することについての承諾を得るとともに、資料の返還の必要の有無を確認しなければならない。
(資料の保管等)
第26条 前条の規定により提出を受けた資料は、汚損、変質、変形等が生じないように慎重に取り扱うとともに、別に定める台帳に提出者の氏名、住所、保管の状況等を記載しておかなければならない。
2 前項の資料は、調査が完了したとき、又は保管の必要がなくなったときは、返還しなければならない。ただし、所有権者が資料の所有権を放棄したときは、この限りでない。
(原因判定の原則)
第27条 署長は、この章の規定に基づき実況見分、質問及び収集した資料等を総合的に検討して、科学的かつ合理的に火災の原因を判定しなければならない。
(鑑定等の依頼)
第28条 署長は、原因の判定に関して特に必要があると認めるときは、収集した資料又は特定事象について学識経験者又は官公署等に鑑定又は分析の嘱託をすることができる。
第6章 損害調査
(損害調査)
第29条 損害調査は、次に掲げる区分ごとにり災物件を詳細に調査し、損害を把握しなければならない。
(1) 焼き損害 火災によって焼損した物及び熱によって破損した物等の損害をいう。
(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害をいう。
(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた損害で、前2号に該当しないものをいう。
(4) 死傷者 火災現場において、火災に直接起因して死亡した者(火災により負傷した後48時間以内に死亡した者を含む。)又は負傷した者(火災により負傷した後48時間を経過して30日以内に死亡した者を含む。)をいう。
(り災届の提出)
第30条 署長は、別に定めるところにより損害調査の資料としてり災者から火災の鎮火後速やかにり災届の提出を求めるものとする。
第7章 書類の作成等
(火災調査書の作成及び報告)
第31条 署長は、別に定める要領により火災調査書を作成するものとする。
2 署長は、前項の火災調査書を作成したときは、別に定めるところにより消防長に報告するものとする。
(書類の保管)
第32条 調査関係書類(添付書類を含む。)は、所轄消防署で保管するものとする。
第8章 報告
(火災の報告)
第33条 署長は、火災が発生したときは、鎮火後直ちに火災の概要を火災速報として、消防長に報告しなければならない。
(火災の即報)
第34条 署長は、火災・災害等報告要領について(昭和59年消防災第267号消防庁長官通知)に該当する火災が発生したときは、直ちに消防長に報告するとともに、情報指令課を通じて、県又は国に報告しなければならない。
第9章 り災証明
(り災証明)
第35条 署長は、り災者及びり災者と同居の親族(以下「り災者等」という。)からり災に関する証明の交付申請がなされたときは、り災の証明をすることができる。この場合において、り災者等以外の者の申請については、り災者の委任状を添付するものとする。
2 火災に準じたり災証明については、前項の規定を準用する。
第10章 雑則
(照会に対する回答)
第36条 捜査機関その他の公的機関からの照会に対する回答は、消防長又は署長が行うものとする。
(参考人、証人としての出廷等)
第37条 調査員等は、調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼出し若しくは召喚を受けたときは、消防本部の調査員は予防課長に、消防署の調査員等は所轄の署長に報告しなければならない。
2 前項の報告を受けた予防課長及び署長は、調査員等の出廷等について消防長の許可を得なければならない。
(爆発事故等の調査)
第38条 ガスの漏えい又は爆発事故等に係る原因及び調査については、この規程を準用する。
(補則)
第39条 この規程の施行に関し必要な事項は、別に定めるものによるほか、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号消防庁長官通知)の例による。
附則
(施行期日)
1 この規程は、平成21年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この規程の施行の日の前日までに、久留米市火災調査規程(平成9年久留米市消防本部訓令甲第1号)又は福岡県南広域消防組合火災調査規程(昭和61年福岡県南広域消防組合消防本部訓令甲第2号)の規定によりなされた手続その他の行為は、それぞれこの規程の相当規定によりなされたものとみなす。
(大川市の消防事務追加に伴う経過措置)
3 平成31年4月1日の前日までに、大川市火災調査規程(平成14年大川市消防本部達乙第2号)の規定によりなされた手続その他の行為は、この訓令の相当規定によりなされたものとみなす。
附則(平成25年3月29日消本訓令甲第1号)
この規程は、平成25年4月1日から施行する。
附則(平成31年3月12日消本訓令甲第1号)
この訓令は、平成31年4月1日から施行する。
附則(令和5年3月23日消本訓令甲第2号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。